ここでは私が日々思っていることを述べてみたいと思います。
歯の病気とは?
歯の病気は
A 歯そのものの病気(虫歯)
B 歯の中の神経の病気(歯髄炎)
C 歯の周りの病気(歯周炎) に分けられます。
虫歯は歯を削って詰めたり被せたりして治療します。
歯髄炎は歯の中の神経を取って、掃除、消毒して治療します。
歯周炎は歯の周りの掃除、ブラッシングで対応します。
歯髄炎の場合は症状の有る無しに関わらず神経の治療を終了させてからでないと詰めたり被せたりすることが出来ませんので、必然的に治療に時間(回数)がかかります。また一般的に言うC1〜C4というのは虫歯の進行状況を表すものでC1が初期、C2が中まで進んだもの、C3が神経の入っている部分まで進んだもの、C4が虫歯が進んで歯根しか残っていない物をいいます。
虫歯になる人、ならない人
生まれてこのかた歯なんか磨いたことないけど虫歯は一本も無いよという人、いつも一所懸命磨いているけどすぐ虫歯ができちゃってね〜という人・・・いますよね。
本当かな?もし本当なら不公平だな〜って思いませんか?でも本当なんです。 (磨いている、ときちんと磨けている、は別だという理論はこの際おいといて)
食生活や生活習慣等にも影響されますが一番の原因はその人のもつ生命力の強さの様な物・・・じゃないかな?抽象的な表現ですが身体が元気ならば虫歯にもなりにくい、そんなイメージです。これは歯槽膿漏や顎関節症などにも言えます。でも「な〜んだ、歯磨きしても無駄なんだ・・・」なんて考えないで下さいね。基本はきちんとした歯磨きが必要だということはお忘れなく!
虫歯は治るのか?
治療している本人が言うのも変ですが、治らないと思います。 治らないというのは、元通りにはならないという意味でです。
小さい虫歯を詰めるぐらいなら問題はないでしょう。これは足をバックリ切ってしまって縫合してもらった様な感じです。ひきつれとかが残らなければ歩くのも不自由しないでしょうし、これから先も大丈夫でしょう。
しかし冠を被せたり入れ歯を入れたりという治療は膝から下を切断してしまって義足をいれたようなものです。以前のように歩いたり走ったりするのは難しいですし、いつかは壊れてしまうので作り直さなくてはなりません。どんなに良く出来ていても自然のままの物には勝てっこありません。はじめは合わないでしょうし、慣れるまで時間もかかります。治療した物の寿命は歯科医師の技術も当然ですがその後の患者さんの手入れにもよります。
たまに「歯を治すのは歯医者の仕事で私は何もしない。」と言う感じの方がいます。歯を磨くと言う概念がなく歯の形が判らないくらいに歯垢がついていて、先週治した所がもう虫歯になっている?ような感じです。なにか「賽の河原に石を積む」ような気がして虚しくなるときもあります。ある程度の虫歯が出来てしまった時点で、その歯の寿命はだいたい決まってしまいます。虫歯は治らないのだと知って下さい。そして歯を大事にして下さい。
口臭について
世の中が清潔志向になり、また人間関係も複雑になった今日、口臭は「見えない審美」とまで言われるようになりました。口臭が気になって・・・と来院される患者さんもめずらしくありません。
しかし私は困ってしまうのです。何故ならそう訴える患者さんはたいてい口臭は無いのです。 口臭は基本的には自臭(自分の臭い)なのでたいてい自分では感じることが出来ません。ニンニク料理を食べた後本人は何も感じないのに、他人にはすぐ判ってしまうのと同じことです。つまり口臭は他人に指摘されなければ判らないものなのです。
この場合も面と向かって言われた場合(なかなか勇気ある行動だと思いますが)は、確かに口臭があることが多いのですが、そうではなく自分で口臭があると感じている場合、人間関係が引き金となったケースも見られます。「あの人が最近私を避けるようになった。」とか「人間関係がうまくいかない。」とか心因性の要因がある場合があるのです。つまり、そういったことが口臭のせいにされてしまうのです。
この場合通常の治療では効果が出にくいようです。ただ基本的には口臭の原因は虫歯と歯槽膿漏ですから、これらの通常の治療をしていけば口臭は少なくすることが出来ます。下に簡単な表を作ってみました。あなたはどのタイプ??
治療は容易
通常の治療でOK
治療が困難
心理的なアプローチが必要
通常の治療でOK
しかし自覚がないのでやや困難なことが多い
ノープロブレム !!
レントゲン撮影について
歯科ではレントゲン写真を撮ることが非常に多いと思います。対象となる物が歯、骨などであり、その中の状態を知るためには現在この方法しかないからです。しかし皆さんは「放射線」と聞くと癌になる、遺伝的な影響がある、ずーっと残ってしまうのではないか等、何となく怖いというイメージがあるのではないでしょうか?
ではここでは簡単に説明してみましょう。ただ、ここの話は歯科の診断用レントゲンについてです。一般医科の胸部、腹部などの撮影、癌の放射線治療等とは別なので御了承下さい。
・レントゲン線は電気的に発生する物なので一瞬で消滅します。放射性物質にように放射線を出し続けることはありません。
・私達は毎日宇宙から、地球から、そして体内に入った食物から1日あたり0.5mrad(ミリラド)の自然放射線を被爆しています。
・歯科の診断用レントゲン撮影の被爆量は撮影方法、身体の部位にもよりますが、0〜5.9mradです。また防護エプロンの着用により被爆量は1/10〜1/100になります。
歯科のレントゲン撮影で起り得る障害は遺伝的影響、白血病、発癌の3つです。その危険度は日本の全人口に対してそれぞれ0.176人、2.36人、17.4人となっています。これ以外の障害は最も少ないものでも歯科のレントゲン撮影線量の500.000倍以上ないと発現しないので考える必要はありません。また少々乱暴な表現ですが1回のレントゲン撮影の危険度は通り魔殺人、落雷による死亡、航空機事故死などと同レベルだとの報告もあります。
ブラッシングについて
●洗面所ではやらない!
何故なら、洗面所はあまり快適な場所ではないからです。たいていは家の北側にあり薄暗く、冬寒く、夏ジメジメと居心地がよくありません。そんな所にじっと立ったままで鏡で自分の顔を見ながら長時間歯を磨いていられますか?家族の同意が得られれば居間でテレビを見ながら、お風呂にはいりながら・・・のほうが長時間出来ると思いませんか?歯磨きに集中するのではなく、何かをしながら・・・という感じでいきましょう。
●歯磨粉は使わない!
居間で、お風呂で歯磨きをするとなると、口の中を泡だらけにしてする訳にはいきませんよね。こぼれそうになる泡に気を取られて長時間は無理です。それに歯磨粉には清涼剤が入っていますから口の中がさっぱりしたと錯覚してしまいます。何も付けないと始めは気持ち悪いですが直に慣れます。
●軽い力で長い時間!
歯を磨くということは歯をピカピカにすることではなく、表面についた汚れをこすり落とすということです。汚れははの凹んだ所についている訳ですから、そこに毛先が多く当たる方が良い訳です。強く、短時間よりも軽く、長時間の方がその機会が増えますので最低10分間くらいはしましょう。ちなみに実際にはほとんどの方が1分間以下というデータもあります。
歯ブラシの持ち方は鉛筆の持ち方が良いですね。グー握りは鉄棒、バットなど力がいるときの持ち方です。歯磨きに必要なのは「力」ではなく繊細なコントロールですから・・・。また歯ブラシの振幅は大きくこすることなく、可能な限り小さくしましょう。そうでないと肝心な凹んだ所を飛び越えてしまいますよ。
●出血を恐れない!
ブラッシングで出血することがあります。口の中は真っ赤になるし、歯ブラシも真っ赤。止まらなくなったらどうしよう・・・とブラッシングをやめたくなりますよね?でも出血の原因は歯についている汚れです。汚れを無くさない限り出血はなくなりません。口の中の出血は唾液に混じるので実際の量より多く感じます。また出血があっても2〜3週間頑張れば出血しなくなります。ただこれは「悪い血を出す」のが良いということではありませんので御間違いのないように御願いします。
●痛いのはやりすぎ!
先ほど「出血はかまわない」と書きましたが痛みを感じるのはNGです。これは歯肉の擦過傷ですので、軽い力でやるか、その部位はあまり触らないようにします。歯ブラシを柔らかめに換えてみるのも良いかも知れません。
●歯磨粉の効果は?
先に「歯磨粉は使わない!」と書きましたが歯磨粉にも有効な成分が入っています。フッ素が入っている物は大人子供に関係なく歯質を強化して虫歯になりにくくします。また知覚過敏用のものもかなり効果はあるようです。使い方は初めは何も付けずに前述したように磨き、その後に歯ブラシの先に少し(5mm位)つけてお口の中に塗り広げるような感じで使うのが良いと思います。
●電動歯ブラシは?
電動歯ブラシはかなり効率が良いと思います。ただ仕事率が高い分、歯磨粉と併用すると歯がかなり摩耗してしまいますので注意が必要です。タイプは機械的に運動するものよりも超音波タイプの方が良いと思います。歯肉に対する優しさもありますしキャビテーション効果でブラシの届かない部分まで掃除できるようです。私も診療室では超音波タイプのものを使用しています。
子供について
●歯が生えたらすぐブラッシング!
そうしないとすぐ虫歯になってしまうという事ではありません。習慣付けとして早くからした方が良いという意味です。口の中に何か突っ込まれてゴシゴシされるというのは決して気持ちよい事ではありません。小さいときから慣らしておく必要があります。小さい子供にとってブラッシングは健康管理ではありません、躾です(この字は身を美しくと書きます、良い漢字ですね)。手を洗う、顔を洗う、お風呂に入るのと同じことです。
●何才まで親がやるか?
子供が自分で磨くというのは習慣付けとして大事ですが、「磨いた」というのと「磨けている」というのは別物です。やはり最後は親が仕上げ磨きをする必要があります。私の経験からいって小学校の間は頑張りましょう!中学に入るともうさせてくれません(笑)。ちなみに仕上げ磨きは毎回する必要はありません、夜寝る前の一回だけで充分だと思います。
●乳歯と永久歯、どっちが大事?
乳歯はいずれ抜けるから、永久歯の方が長く使うから、と思っていませんか?でも急激に成長するのは子供が小さいときです。この時期にこそ良く噛んで栄養をいっぱい取らなければなりません。また噛むということによって頭の骨も成長します。骨の成長が悪ければその中身(脳、目等)の成長も悪くなってしまいます。きちんと噛むと言うことは英才教育のスタート?冗談はさておき乳歯、永久歯共に大事ですね!
●砂糖は麻薬?
塩味、苦味、渋味などは訓練によって美味しいと感じるようになりますが、甘味は誰でもすぐ美味しいと感じます。だから子供は甘い物が好きなのです。でも甘い物は虫歯の大敵ですから出来るだけ制限して下さい(ただ家族の団欒、御近所付き合いなどの妨げにならない程度に・・・ね)。
●やはり検診を!
お恥ずかしい話ですが私の子供も虫歯になりました。私自身が毎日ブラッシングをしていて自信たっぷりでしたから、はっきり言ってショックでした。虫歯を見つけたのは遊び半分に診療台にのせて検診したときでした。プロである私が見ていても家では無理なのです。やはりちゃんとした照明と道具がないと駄目だと思います。
●フッ素は効く?
フッ素は歯質を強化します。つまり虫歯になりにくくなります。しかし魔法の薬ではありません。あくまで塗っていない場合に比べれば・・・程度に考えて下さい。フッ素を塗りさえすれば歯磨きしなくても良い、とか甘い物もOK!と思われては困ります。そんな考えであればかえって塗らない方が良いかも知れません。あくまでもきちんとした手入れの上にプラスする物と御考え下さい。診療室で塗る事も出来ますが、自宅で毎日塗る事の出来る製品もあります。こちらの方が効果が高いと思いますのでお勧めです。
名医とは?
●相性とは?
例えば腕が良くて、人格者で人当たりが良くてどんな時でも冷静沈着・・・なんて先生がいれば文句無しに名医でしょうが、それでは私の出番がなくなってしまいます(笑)。
患者さんには様々なタイプがあります。じっくり説明して欲しい人、さっさと治療して欲しい人、恐いので少づつ治療して欲しい人、とにかく一回に多くの歯を治療して欲しい人・・・。また先生も良く説明する人、俺に任せておけタイプの人、1本づつ治療する人、一回に時間をかけていっぱい治す人など様々です。
実はここに私の出目が隠されています。良く説明して欲しい患者さんに良く説明する先生が当たればその先生は名医になれます。同じ先生にさっさと治療して欲しい患者さんがかかると「しゃべってばかりでちっとも治しゃしねえ、ありゃ駄目だ。」ということになります。この場合腕がどうのこうの以前の問題でこれが相性というものです。
つまりAさんにとっての名医は必ずしもBさんにとっての名医であるとは限らない、ということです。ですから私も何人かの患者さんにとっての名医になれる可能性があるわけです。出来るだけ多くの患者さんの名医になろうと頑張っているつもりです。あと人間ですからお互いに感謝の気持ちを持ちたいですね、「虫歯を治していただく。」、「治療させていただく。」という気持ちです。
●後医は名医
例えば、歯が痛くてA歯科医院にいったとします。応急処置をしてもらってお薬を出してもらったのに良くなりません。3日間我慢したけど痛みが取れないのでB歯科医院にいったらその翌日にすっかり痛みが取れました。さてその理由は?というと、もちろんB歯科医院の先生が上手だったというのもあるでしょうが、
・A歯科医院の処置の効果が出てきた。
・A歯科医院の薬の効果が出てきた。
・何もしなくても4日もたてば痛みは無くなる物だった。
と言った所が多いものです。
この時注意しなければならないのはA先生とB先生は同じ条件ではない、ということです。B先生はA先生のした処置、出したお薬、今日までの経過等、手に入る情報量がA先生より多いのです。
痛みでも典型的な物はすぐ診断がつきますが、はっきりしないものはまず一番疑わしいものの処置をして、その経過を見ると言うことが大事なのです。それで変化が無ければ次に考えられるものの処置をする、というように私達は常に次の一手を考えながら治療しています。
ですからB先生は一回分の情報を得て、それ以外の可能性を考えられる訳です。極端なことを言えばもう一度A先生にかかってもB先生と同様の処置をしてもらって痛みは取れたかも知れません。しかしA先生はヤブ医者と言われB先生が名医と言われる確率はかなり高いと思われます。
今は基本的に保険でほとんどの治療が可能です。前歯を白く治すことも出来ますし、ブリッジも出来ます。ただ奥歯も白く治したいとか、入れ歯は絶対に嫌だとか保険の適応外の治療も存在します。また同じ治療でも保険、自費を選択出来る物もあります。
これらを全てを説明するのは大変なので割愛しますが、例えばスーツを買うとします。2万円で買える物もあれば、10万円する物もあるでしょう。どちらを買いますか?どちらを買うのが正しいですか?正解はありません。その人によって価値観も違うし、それに割くことの出来る金額も違うからです。ただ10万円のスーツもほうが上等だということは御理解いただけると思います。
何か御趣味はありますか?時計、カメラ、車、食器・・・。それぞれに造詣が深くなれば深くなるほど一流品の凄さを知ることになります。自費治療もそんな感じです。また高い物の方が丈夫で長持ちするということはありませんよね。高級な物ほど維持に手間がかかり、繊細な扱いを要求します。 この点もお忘れなく・・・。
ただ歯科のことが趣味という方は多分存在しないと思いますが(笑)。
歯並びが悪いのを治す場合は基本的に歯科矯正が必要となります。今は年齢的制限は特にないのでいくつになっても矯正治療は可能です。歯並びが凸凹しているという感じなら矯正の治療開始はいつでもかまわないと思います。
しかし噛み合わせが反対になっている様な状態(下の前歯の方が前に出ている)ならば、早い時期に受診した方が良いと思います。骨格が固まってしまうまえに治療を開始した方が早く治りますし簡単な装置ですみます。3才くらいで一度診断してもらってから治療開始時期を決めるのが良いでしょう。
ではどこで診てもらえば良いのでしょうか?私は矯正専門医に診てもらうのがベストだと思います。一般の歯科と平行して矯正をしている先生もいらっしゃいますし、そうゆう先生の中にも当然素晴らしい治療をされる方はいらっしゃいます。それでもやはり私は良い意味での「専門バカ」が好きです。その事しか考えない、その目的に邁進して行くのみ、という感じでしょうか。
ではどこの矯正歯科にかかるか?ということですが、知り合いの方で矯正をしている人がいれば、直接聞いて情報を仕入れるのが良いと思います。何人かに聞いてみれば「ここが良さそう。」というところが見つかるでしょう。もし心当たりがなければ信頼出来る先生を御紹介いたしますのでお申し付け下さい。
また矯正は全額自費になりますが、安かろう、悪かろう・・・だけはやめましょう。身体に関することですから内容が大事です。一般の方が見て判らなくてもプロの私達はその先生の矯正治療のレベルが判ります。安ければそれなりの・・・ということが多いです。
一番奥の親知らずが痛くて・・・という患者さんはかなり多いと思います。しかし痛いというのにも様々な原因があって、親知らず自体が痛いもの、親知らずの周りが痛いもの、親知らずが変な所に当たって別の所が痛いものなどがあります。
親知らずで痛みがある場合は基本的に抜歯するようになります。理由としてはあまりに奥すぎて治療の道具が入らない、治療出来ても咬む役にたたない、その存在自体が痛みの原因になっているものが多い、などです。
よく親知らずを抜くと腫れると言われますが、今はあまりそうゆうことは無いように思います。もちろん100%とは言いませんがほとんどの場合大丈夫なようです。まっすぐに生えているものならば普通の歯の抜歯と同じです。真横に生えているものは歯を半分に切断したりする手間が増えますので少し時間がかかりますし、痛みも少し強くなることもあります。
1、親知らず自体が痛いもの
親知らずの虫歯が大きくなって神経までいってしまったもの。
2、親知らずの周りが痛いもの
歯が完全に生えきらないで歯肉がかぶさっている様なものに多い。かぶさっている歯肉の中に食物のかすが入ったり、細菌が感染して起こり周りが腫れることがある。
3、親知らずが変な所に当たって別の所が痛いもの
上の親知らずに多く外向きに生えて頬粘膜の内側に食い込んでしまうもの、またはどんどん延びてきて下の歯肉に食い込んでしまうものなどがある。
患者さんにとって一番嫌なこと、抜歯についてお話しします。最近は治療の進歩により抜歯するというケースもだいぶ減って来たように思います。しかし、それでも抜歯するしかないという場合があるのも事実です。抜歯しなければならない理由は大きく分けて3つの場合があると思います。
1 歯そのものが駄目な場合
歯は虫歯が進んで根だけになっても残せます。根がしっかりしていれば土台をたてて冠を被せることが可能です。しかし根自体が駄目な場合は抜歯せざるを得ません。具体的には歯茎の奥の方まで虫歯が進んでしまったもの、根の途中で穴が開いてしまったもの、根の股の所まで虫歯が進んでしまったもの、根が割れてしまったものなどです。
2 歯の周りが駄目な場合
歯そのものは大丈夫でも、歯を支えている周りが駄目な場合です。一般的にいう歯槽膿漏などで歯を支えている骨が無くなってしまったもの、または根の先の病気が大きくて根の治療で対応できないものなどです。
3 親知らず
別の項目で書いたように親知らずで痛みがある場合は基本的に抜歯になります。
私は一応その他に選択肢が考えられる場合にはその方法を採るようにしています。その方法で少しでもその歯が使えるのであればそうしているつもりですが、それでも抜歯を勧めなくてはならない場合があります。しかし患者さんの身体の一部を取ってしまう訳ですから、最終的な決定権は患者さんにあると思っています。ですから緊急の場合を除いては当日の抜歯はせずに説明のみにとどめ、患者さんが納得されてから次回に抜歯するようにしています。
今気になっているのが骨粗鬆症のお薬です。このお薬を長期に渡り服用していると抜歯が出来なくなる事があります。私の診療所で出来ない訳ではなく大学病院でも抜歯出来なくなります。様々な条件があり、このお薬を服用していても抜歯可能な場合もあります。基本的には抜歯などしないほうが良いのですが、このお薬の事を考えると(高齢になればなるほどこの薬を処方される事が多くなる)ある程度の年齢になったら抜歯する可能性のある歯は抜歯してしまった方が良いのかも知れません。抜歯するしか治療法が無いにもかかわらず抜歯出来ないと言うのは悲惨な結果を招きます。何人かそうゆう患者さんに出会いましたし、何も出来ない無力さも感じます。先行的に抜歯すると言う、そこまで踏み切れていないのが現実ではありますが・・・
歯槽膿漏の治療は可能です。ただ虫歯の治療は私達歯科医師が主役ですが、歯槽膿漏の治療は患者さんが主役となって私達は脇役に回ります。虫歯の治療は歯科医師が歯を削ったり詰めたりして治します。虫歯の予防はブラッシングで歯をきれいにする事ですが、これは患者さん自身がする事です。私が毎日3回患者さんの歯をブラッシングするのは非現実的です。
歯槽膿漏の場合は治療も予防も同じブラッシングなので、患者さん自身の努力の割合がグッと大きくなります。無論私達歯科医師もやらなければならない事はたくさんあります。歯槽膿漏の原因や悪化させる因子(歯石、噛み合わせ、不適合な冠)などの除去、修正などは歯科医でなければ出来ない事です。しかし最終的にはどれだけ口腔内をきれいに出来るかということにかかってきます。これは食べかすのことではなくプラーク(細菌の塊)のことです。
台所のコンロ、換気扇の掃除って大変ですよね。油がこてこてに固まってしまってなかなか取れません。掃除の本を読むと1週間に一度掃除すれば固まる事無く、楽に取れるそうです。大掃除のときにやろうとするから大変なのだ、とも書いてあります。そんな事言われなくても判ってるし、誰が考えても当たり前ですよね。でもそんなことが文章になって本になるのはみんな実行できないからなんです。
歯の掃除も同じです。「1日3回歯を磨きましょう」というのは誰でも知っています。歯の健康の為に良いと判っていてもなかなか出来ないのが現状だと思います。しかしこれをしない事には歯槽膿漏は良くなりません。コンロや換気扇のように年1回じゃ駄目ですよ(笑)。
両方とも歯が無くなった時にその部位を補う方法の事ですが全く別のものです。
入歯は顎の部分のついた取外しの出来るものをいいます。お口の中への固定方法は残っている歯に針金で引っ掛けてとめる様な感じです。自分で取外しが可能で食事の後などは取り外して洗う事も出来ます。
ブリッジは歯の無い部分も含めた連続の冠を作って被せてしまうものです。固定方法は残っている歯に接着してしまうので取外しは不可能です。
大雑把に言って歯の無い部分が大きければ入歯、小さければブリッジという感じになりますが、歯の無い場所にも左右されますのでケースバイケースというのが本当のところです。基本的に患者さんは入歯を嫌いますし私も可能ならばブリッジの方を勧めます。ただ両方のどちらかを選択出来るケースというのはほとんど無くて、歯の無い状態でほぼ決まってしまうのが現実です。
●入歯
利点:残っている歯をほとんど削る必要が無い
残っている歯が駄目になった場合でも修理、拡大、調整が可能
どんな欠損形態にも対応可能
欠点:異物感が大きい
慣れるのに時間がかかる
歯に引っ掛ける針金が見える場合がある
●ブリッジ
利点:異物感がほとんど無い
咬む力が出やすい
取外しの面倒が無い
欠点:残っている歯をかなり削る必要がある
駄目になったときは修理は不可能で再制作になる場合が多い
欠損形態によっては対応出来ないものがある
●食べたら洗う
御自分の歯と一緒です。何か食べたら外して洗うようにして下さい。歯磨き粉を使うとプラスチックの部分が摩耗してしまうので、何も付けない方が良いです。裏側が深くて普通の歯ブラシで届かない場合は入歯専用の物もありますので試してみて下さい。また洗うときは洗面台に水を張った状態にしておくと、もし誤って落としてしまった時に壊れてしまうのを防ぐことが出来ます。あと御自分の歯も良く磨いて下さい。入歯と接している歯は汚れがたまりやすく虫歯になりやすいので注意が必要です。
●夜寝るときはどうする?
基本的には御自分で楽な方でかまいません。入れていて苦しいようであれば外して寝れば良いし、無いと違和感があって・・・ということであればはめたままで結構です。ただ小さい入れ歯の場合は寝ている間に外れてしまうと飲み込んでしまう危険性がありますので、外しておいた方が良いと思います。
外しておく場合はきちんと洗ったあとに、水を少し張った容器に保管して下さい。乾燥させてしますと変形の原因になったりします。またティッシュなどにくるんでおくと間違えて捨ててしまったりするので注意が必要です。
●変だなと思ったら受診を
入歯は体調の微妙な変化でも合わなくなったりします。すぐに落ち着けば問題ありませんが、長引くようであれば受診して下さい。早いうちならば少しの調整で大丈夫な場合もありますが、ガタガタになってしまえば新しく作り直さなくてはならなくなってしまいます。
●痛い時は
新しく作った場合等は特に顎の部分に当たって痛みが出ることがあります。軽い痛みなら馴染んでくることもありますが、基本的には当たっている部分を削れば落ち着きますのですぐにいらしてください。当たっている所はほっておくと腫れてきて増々当たるようになってしまいますので、あまり我慢するのは賢明ではありませんよ。
このHPは私の診療室の概要をお伝えする為に作ってあります。いわゆる存在証明のような物です。今どきHPがないと「本当にこの診療室は存在するのか? 」という疑問を持たれてしまうかも知れませんから(笑)
しかし当然ながら、私にとって都合の悪い事は記載してありません。ですから全て良い方向に解釈されても困ります。何も貴方をだまそうと思って書いている訳ではありませんが、つい自分に都合の良い事を書いてしまうのは人の常です。
このHPはあくまでも参考程度にとどめておいて、貴方の回りで歯科医院に通われている(通われていた)方の生の声を聞く事をお勧めします。その方が通っている診療室の事を褒める方もいるでしょうし、「あそこは駄目だよ」とけなされる方もいらっしゃると思います。ネット上の情報は操作が可能ですが生の声はそうはいきません。面と向かえば本音が出て来る物だと私は思っています。そう言う情報の中から貴方にあった歯科医院を見つけていくのが一番良い方法だと思います。
私が患者さんから聞く言葉で一番嫌な気持ちにさせられるのが「歯を抜かれた」「歯を削られた」「金を取られた」です。全く歯科医師と患者さんの間の信頼関係が感じられません。歯科医師との信頼関係があれば「痛かった歯を抜いてもらった」「歯を削って詰めてもらった」「お金を支払った」となるはずです。私は出来れば後者の言葉をかけてもらいたいと思っていますし、そうなろうと努力はしているつもりです。
*またカッコいい事、書いちゃったかな(笑)?